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職人 [仕事]

「通訳者」と言えば、「英語=頭を使う=頭脳労働」と
思われるようです。確かに語学だけでなく
たくさんの知識を吸収する必要があります。
よってアタマは非常に使います。座り通しの仕事なのに、
なぜか業務終了時にはフルマラソンを完走したかの如く、
グッタリします。

ただ、私自身はこの仕事をむしろ「職人」だと思っています。
先日読んだ森川智之さんの本「声優 声の職人」
(岩波新書、2018年発行)にも「職人」ということばが
出てきました。

この本に遭遇したのは、たまたま書店で手に入れた
岩波書店の新刊案内パンフレットです。そこに
出ていたのでした。実はそれまで森川さんのお名前を
存じ上げていなかったのですが、映画「ズートピア」の
キツネのニック役をなさっていたのが森川さんだったのですね。
他にもトム・クルーズの声や、様々なボイスオーバーを
担当されています。

本の中で森川さんは次のように述べています。

「吹替えという仕事は、作り手の思いを伝えるお手伝いだと
思うんです。トム・クルーズがかっこよければ、
吹替えもかっこよくなければいけない。
感動させるところでは感動させないといけない。」

これは通訳者も同じだと思います。たとえば放送通訳の場合、
戦場で現地特派員が命がけでレポートを作成してきたのであれば、
その労力と現地の状況を自分のこととして受け入れた上で
通訳しなければ視聴者には伝わらないと私は思います。
大げさに感情を入れる必要はありません。ただ、あまりにも
淡々と訳してしまったり、あるいは「全訳せねば」と焦って
しまって早口になってしまえば、せっかくの映像とマッチしなくなります。
特派員本人の気持ちを汲みながらどうすべきか、いつも私は
考えています。

もう一つ、森川さんは「アニメの声優になりたい」という
後進についても綴っていました。中でも「アニメやゲームが
好きなので声優になりたい」という人たちに対しては
こう述べています。

「もし声優になりたいならば、アニメばかり観ていたり
ゲームばかりしていてはダメだ」

なぜでしょうか?それは、声優という仕事が演じる仕事であり、
最終的に作品を楽しむのはファン、つまり消費者だからです。
演じるためには人間観察をしたり、様々な経験を積む方が良いと
森川氏は説いています。

通訳の世界も同様です。英語「ばかり」勉強するよりは、
多様な実体験をしたり、たくさんの本を読んだりする方が、
知識も身につきますし、それがひいては話者のイイタイコトを
とらえる実力に結び付きます。

あくまでも私は「職人」という気持ちで、これからも
この仕事を続けていくつもりです。
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