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もしこれが日本だったら? [日々の暮らし]

先日起きたロンドンのタワーマンション火災。
あの地域は、かつてBBCに勤めていたころの私の
通勤ルートでした。当時私はロンドン中心部の
アパートに暮らしており、地下鉄で30分ぐらいの
道のりを毎日通っていました。

ロンドン中心部では地下を走るその路線は、
途中から地上を通る経路となります。
地上に出てしばらくすると、進行方向左手に
そのマンションは見えたのでした。
今でもよく覚えています。

火災原因はまだ調査中とのことですが、
あの地域は貧富の差が激しく、当該のマンション周辺には
貧しい世帯が多く暮らしています。
けれどもそこから少し離れた場所は高級住宅街なのですね。
Kensington & Chelseaという区は、それぐらい
格差の激しい人口構造なのです。

ニュースに出てきた市民の中には次のように
語る人もいました。

「隣の高級住宅街に住む人々が、『自分たちの窓から見える光景
(つまり、今回火災のあったマンション地域)がみすぼらしいのは
嫌だ』と言ったから、リフォームになった。
けれども改修で使われた素材は安価なものだった。
可燃しやすい外壁だったに違いない。
だから火の手の勢いもすごかった。」

私自身、イギリスに暮らしていて不思議に思ったのは、
なぜ道路一本隔てただけでこれほど空気がガラッと
変わるのかという点でした。私が初めてイギリスに
暮らしたのは10歳のときで、転入当初はわからなかったものの、
慣れるうちに「勘」でその地域の安全性が感じ取れるように
なったのですね。「ん?この地域は危ないかも」という
具合に、何となくわかるようになったのです。

以来、大学院時代もBBC時代も、アパート暮らしで
物件探しをした際には、最寄駅を降りただけで
「ここで独り暮らしができるかどうか」が
直感でピンと来るようになりました。

ただ、イギリスというのは元の都市計画の段階で
たくさんの植樹があり、公園もあります。
今回の火災ニュースで映し出されるあの地域も緑が多く、
街並みもスッキリしているように一見思えます。
けれどもそれと同時に、実は大きな
社会構造的な課題を抱えているのも事実なのですね。

「他国のニュース」ととらえるのではなく、
「もしこれが日本だったら?」「日本の格差がこれ以上広がったら?」
という意識を持ち、社会問題を考えたいと思います。